カリフォルニア星雲 NGC1499 ペルセウス座 距離:2000光年 大きさ : 145×40′

 「冬明け」がまだまだ先なので昨年末に撮像した画像を処理しました。カリフォルニア星雲(NGC 1499)は、ペルセウス座にある大型の散光星雲で、形がアメリカ合衆国のカリフォルニア州によく似ていることから名付けられています。中央右下のペルセウス座 ξ 星(クシーせい)による紫外線放射により、主に水素からなるガスが赤く輝く天体として有名です。このような空間をHⅡ領域と呼びますが、HⅡ領域は Hα輝線(波長656.3nm)で輝いているため、肉眼や通常のデジタル一眼でその姿を捉えるのは困難です。

 HⅡ領域を捉えるため、ASI 2600MC ProにNB1ワンショットナローバンドフィルターを使用しましたが、ナローバンド画像はブロードバンド画像より「星の色」が写りにくいという欠点があります。そもそも星雲や銀河の細部をあぶり出すため長時間露光したり画像処理で強調処理すれば、恒星は白飛びし「星の色」が失われます。これをどの様に両立させるか?ナローバンドフィルター3枚とRGBフィルターの計6枚で撮像し合成すれば確実だと思われますが、時間がかかります。

 今回もワンショットナローバンドによる画像とブロードバンドによる画像をブレンド合成し、「星の色」の抽出を試みましたが、結果は思わしくありませんでした。そこで試しにナローバンド画像から、「星雲」と「星」を分離し「星雲だけ画像」と「星だけ画像」を作成、それぞれ画像処理し再合成しました。以前より「星の色」が出せたと思っています。
 「星雲と星」の画像から「星だけ画像」にするには Photoshop でも可能ですが手間がかかります。フリーソフトの StarNet++(https://sourceforge.net/projects/starnet/) を初めて使いました。現在のところ 64bit Windows版のみの提供ですが、実に簡単に「星雲」と「星」を分離することができました。ありがたいことです。勿論、パーフェクトとはいかないので Photoshop で補足処理をしました。
 恒星にはそれぞれスペクトル型があるわけで、そのスペクトル型に見合う「星の色」を再現するには何が良いのか、これからも試行錯誤です。(2022/02)            


     撮影機材:ビクセンVSD100F3.8(D100㎜ f.l.380㎜ F3.8) 直焦点
          タカハシEM-200Temma2/MGEN-3
      カメラ:ZWO ASI 2600MC Pro(-10℃),アイダス NB1
     露出時間:600s×18枚, 総露光時間180分, gain98
     画像処理:ステライメージ9/StarNet++/Photoshop 2021/Registax 6
  撮影日時/場所:2021年11月8日/自宅「星見室」