フラット画像 冷却CCDカメラ

 フラット処理の効果や必要性については別の機会や他のwebページにお任せし、ここではフラット画像の取得方法と最終的にライトフレームに使用するフラットフレーム作成までの、自己流の方法について紹介します。試行錯誤の状態で、内容的に多くの改善点もあると思いますが、お気づきの点がありましたらご一報ください。
 フラット撮影方法はいろんな方法があり、私もいくつか試してみました。現在は口径の大小に左右されない手軽な仕掛けでできる、天文薄明+トレーシングペーパー+倉庫への一時常設により、50枚以上の撮影を目指しています。フラット画像の枚数が少ないと、処理前と比べかえってライトフレームが荒れてしまい、枚数を多くすることにより改善するとのwebページのヒントから、倉庫への一時常設になりました。西向き倉庫ですので薄明開始時に撮影します。
 右写真が最終的に得られた L画像のフラットフレーム(ダーク減算済み)です。Pentax 105SDP鏡筒に、SBIG STL-11000M冷却CCDカメラの組み合わせです。

 

 フラット画像の撮影とフラットフレームの作成手順は次のとおりです。

1.光学的にライトフレーム撮影時と同じ状態にします。フード・機器構成・ピント位置・絞りなど同じ状態にします。本来、カメラの向きも一致させるべきでしょうが、そこまで厳密なフラットフレームを取得できませんし、そもそもライトフレームには地上光の影響がありますので、気楽にフラットフレームを作成することとしています。

2.天文薄明が始まり少し薄明るくなった頃、すべてセットされている機器に通電し、パソコンの起動、冷却CCDカメラの設定温度を5℃まで下げます。1等星までが肉眼で確認できる空の明るさあたりから連続撮影に入ります。露出時間は20秒で撮影しています。どんどん明るくなってきますので、ディスプレイの画像で中心部が飽和状態を超えたら、連続撮影を停止します。これを雨の日と月が西天の近くで輝く日を除き、3.の採用条件に合う画像が 4.の所定枚数になるまで繰り返します。ソフトはCCDSOFTを使用しています。

3.ある程度撮りためたら、撮像した各画像について検証と採用の可否を行います。ステライメージ8で行っています。
レベル調整で、最小値10000以上で最大値65535以内を採用。
カメラは16bitですからヒストグラムのピークが65535の1/4~1/3になるのがベストと思いますが、上記で運用しています。

4.フラットフレーム作成に必要な画像枚数と諸元は以下のようにしています。
       L 画像 ビニング 1×1 50枚以上 
   R・G・B 画像 ビニング 2×2 それぞれ 50枚以上
   ダークフレーム ビニング 1×1 100枚以上
   ダークフレーム ビニング 2×2 100枚以上
設定温度はライトフレームと一致させる必要はありませんが、フラットフレームのLRGB画像と対応するフラットフレーム用のダークフレームは同じにします。通常、私は5℃にしています。

5.(ステライメージ8)フラットのダーク補正はライトフレームのダーク補正と同様に,共通>ダーク/フラット補正で行っています。ライトフレームのダーク/フラット補正でフラットのダーク補正も可能ですが,ダーク補正済のフラット画像が保存されないので事前に行っています.


フラット補正の有無による違いを次に示します。「アンタレス付近
左写真はフラット補正せずに、ステライメージやフォトショップの機能を使い、できるだけ周辺減光補正した写真です右写真はフラットフレームにより処理したものです。



もう一例示します。「北アメリカ星雲・ペリカン星雲
上写真がフラット補正なしで、下がフラット補正ありです。
フラットフレームの作成は手間がかかりますが、特に淡い天体には効果絶大です。(2018/05)

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