ハート星雲 IC1805 と IC1795 カシオペア座 距離:2500光年 大きさ : 50X44′

SHO合成

HOO合成

Melotte15 散開星団

以下の点について改善しました。

 星は、2600MMによる星像から2600MCによるブロードバンド星像に入れ替えました。

 昨年撮影した画像に今年撮り増しした画像を加え、総露光時間を366分から685分としました。

 星雲と星を分離する処理はノンリニアで行っていましたが、リニアで行う(ストレッチ処理手前)こととしました。

 昨年、PicInsightに新たにリリースされたナローバンド処理の専用ツールNarrowbandNormalization(NBN)を初めて使いました。強力であまりにも便利な機能にビックリです。(2024/12)



 秋の天の川がとおるカシオペア座には多くの星雲・星団があり、IC1805のハート星雲はその中で最も人気の天体です。写真は横向きのハートマークの下が写されていませんが、右上に隣接するIC1795天体(魚頭星雲)が見えます。この両天体は同一視野で写されることが多く、この写真は両天体の「おいしいところ」を狙いました。シャープレスカタログでは両天体をSh2-190として整理されています。
 ハート星雲は中心にあるMelotte15と呼ばれる生まれたての散開星団からの放射により発光しています。

 生まれたての恒星やその集団(散開星団)から高い紫外線エネルギーを受けた散光星雲は、多くの場合太陽のような連続光でなく特定の波長で自ら発光しています。このような散光星雲を輝線星雲といいハート星雲も輝線星雲の一つです。
 特定の波長とは、たとえば宇宙で最もありふれた元素である水素は波長656.3nmの光を放出していますし、酸素は500.7nm、硫黄は672.4nmなどです。この特定の波長のみを通し他の光を遮断するのがナローバンドフィルターの働きで、水素由来の光のみを通すHαフィルター、酸素のOⅢフィルター、硫黄のSⅡフィルターの主に3種類があります。モノクロカメラにこれらのフィルターを装着して各元素の分布状況を撮像します。

 各元素の分布状況を撮像したモノクロ画像をカラー化するため、各画像をRGBチャンネルに割り当てます。この色の割り当ては様々あるようですが、一般的で多用されているのがSHO合成とHOO合成でしょう。
 SHO合成は、SⅡ画像をRedチャンネルに、Hα画像をGreenチャンネルに、OⅢ画像をBlueチャンネルに割り当ててカラー化します。日本ではHαのαをHからAに置き換えてSAO合成とよぶことも多いですが、世界的にはSHOが一般的なようです。また、この合成法はハッブル宇宙望遠鏡が撮影したM16「創造の柱」の画像で有名になり、「ハッブルパレット」「HSTパレット」ともよばれています。
 HOO合成は、Hα画像をRに、OⅢ画像をGとBチャンネルに割り当てます。日本では上記と同じ理由でAOO合成ともよばれています。このパレットによるRGB合成画像は、RGBフィルターによるTrueColorに比較的近い発色になります。

 注意する点は、Hα・OⅢ・SⅡの3種類の輝線は光の三原色とは無関係であるため、合成によって得られる画像はTrueColorでなく疑似カラー(false color)偽カラーである点です。科学的要素である元素の分布状況を色の変化で表しているといえます。丁度、サーモカメラが赤外線を検知し温度変化を赤~青にかけてのグラデーション表示するのと似ています。ただ、ここに観賞用という要素も入り「カラフルで美しく」の考え方もあります。「科学的な再現性と観賞用写真」、この相反する課題へのアプローチはその程度も含め作者によって異なります。私はできるだけ科学的な根拠を残しつつ美しい写真に仕上げられればと思っています。この写真はPhotoshopの「特定色域の選択」を使用し色相調整をしています。(2023/12)              


     撮影機材:ペンタックス105SDP(D105㎜ f.l.670㎜ F6.4)
          タカハシ EM-200Temma2 MGEN-3
  カメラ(星雲):ZWO ASI 2600MM Pro(-5℃),ZWO Hα OⅢ SⅡフィルター 7nm
          Hα 180秒×69枚 OⅢ 360秒×39枚 SⅡ 360秒×39枚
          gain300(Hα) gain100(OⅢ SⅡ ) offset50 露光時間675分
  カメラ(恒星):ZWO ASI 2600MC Pro(-5℃)
          ZWO IR/UV 30秒×20枚 露光時間10分 gain100 offset50
          総露光時間 SHO合成 685分 HOO合成 451分
     画像処理:PixInsight/BXT/SXT/Photoshop/NXT
  撮影日時/場所:2023年10月12日~2024年11月03日の9夜/自宅「星見室」